2026年9月23日、YouTubeの年次クリエイターイベント「Made on YouTube 2026」で、YouTubeは「動的ブランドセグメント(Dynamic Brand Segments)」を発表しました。クリエイターがブランドと共に作った協賛セグメントを1つ、新規動画だけでなく既に公開済みのバックカタログ動画も含め、最大20本のロング動画に同時挿入できる機能です。セグメントは本編とは別の独立した動画としてアップロードされ、独自の再生指標を持ち、国別に配信を分けたり、本編には一切手を加えずに追加・入れ替え・削除したりできます。2026年のパイロットはまだ招待制(現在は米国・英国・タイ・インドが対象で、年末までに35カ国へ拡大予定)ですが、取引先のクリエイターがこの機能を使える場合、契約前に確認しておきたいことがあります。
Made on YouTubeで発表された動的ブランドセグメントとは正確に何ですか?
今回のイベントでYouTubeは30件以上の発表を行いました — Gemini搭載の対話型ショート編集ツール、チャンネルの成果やコメントを要約する「Ask Studio」、2人のクリエイターのライブを組み合わせて対決させる「ライブショーダウン」、リアルタイム自動吹き替え、そして既に20カ国で稼働中のクリエイターパートナーシップ、年末までに35カ国へ拡大予定のアフィリエイトプログラムなどです。この中でブランド案件の組み方に最も直接的な影響を与えるのが動的ブランドセグメントです。クリエイターはブランドメッセージを含む短いセグメントを独立した動画としてアップロードし、これを自分のロング動画最大20本 — 新規動画・バックカタログを問わず — に同時に挿入できます。セグメントには専用のCTAボタン付きの商品・リンク陳列棚(シェルフ)も付属します。
セグメントの挿入・承認は実際どのような手順で進みますか?
Googleが示す手順は3段階です。まずクリエイターがYouTube Studio上で、セグメントをどの動画に、どの期間、どの国向けに挿入するかを設定します。すると、ブランド側のGoogle Adsアカウントの「クリエイターパートナーシップ」ツールにインバウンドリクエストが届き、ブランドは特定のセグメントと特定の動画の組み合わせを確認した上で承認します。承認しただけでは公開されません — セグメントが実際にライブになるには、YouTubeのポリシー審査を通過し、かつ本編動画が「公開」状態である必要があります。つまり、承認から実際の配信開始までの間に、ブランド側がコントロールできないポリシー審査という段階がもう一つ挟まっています。
「セグメント1つが動画20本に」という仕組みが契約でなぜ問題になりますか?
従来のYouTube協賛契約は比較的単純な単位でした — 特定の動画1本に特定のブランデッドセグメントを入れ、公開日と掲載期間を決める方式です。動的ブランドセグメントはこの単位を崩します。承認する時点でセグメントを挿入する動画リストが確定していない場合があり、キャンペーン進行中にクリエイターが対象動画を追加・削除することもできます。さらにバックカタログ動画も対象になるため、自社のブランドメッセージが数年前に公開された動画 — 現時点での見え方を誰も事前に確認していない動画 — の隣に付く可能性があります。「動画1本への協賛」を買う契約と、「最大20本のうちのどこか」を買う契約は、たとえ料金が同じように見えても、ブランドセーフティのチェック範囲がまったく異なります。
国別ターゲティングと独立した入れ替え・削除は検証にどう影響しますか?
セグメントは国によって配信の有無を分けられ、本編動画に一切手を加えずに追加・入れ替え・削除ができます。つまり本編動画の再生数や公開状態は、自社のセグメントが実際に配信されているかどうかの証拠にはなりません。さらに2026年のパイロットは現時点でモバイルアプリとリビングルームデバイス(スマートTVなど)での配信が中心で、デスクトップ・モバイルウェブへの対応は年内に段階的に拡大される予定です — つまりクリエイターが示す全体のリーチ数値には、まだセグメントを見ることができない視聴者が含まれている可能性があります。検証の根拠として使えるのは、YouTubeがセグメント自体について提供する配信指標だけであり、本編動画の再生数やクリエイター自身のスクリーンショットではありません。
動的ブランドセグメントの契約前に確認すべきことは?
この方式に予算を投じる前に、以下を確認します。
- クリエイターが実際に2026年パイロットの対象で、どの国をターゲティングできるかを確認します。 まだ全クリエイターに開放されておらず、現在は米国・英国・タイ・インドが中心です。
- セグメントを挿入する動画リスト(新規・バックカタログの区別を含む)を、承認前に書面で受け取ります。「最大20本」は上限であって確定した本数ではありません — 実際のリストを確認します。
- Google Adsアカウントのインバウンドリクエストを検討・承認する社内担当者と承認SLAを事前に決めておきます。 承認が遅れると、ポリシー審査に入るまでの待機時間もその分伸びます。
- 掲載期間とターゲティング国を、日付と国名で契約書に明記し、入れ替え・削除前の事前通知義務を入れます。
- 本編動画の再生数ではなく、セグメント自体の配信・クリック指標を報告の基準として要求します。
- バックカタログ動画に挿入される場合、有料パートナーシップの開示表示がセグメント自体にも適用されるか、その動画が最初に公開された時点の開示表示と異なるルールが必要かを確認します。
例(仮の計算です): セグメントを最大20本の動画に挿入することで合意したものの、契約締結時点でクリエイターが実際に設定を終えていたのは8本のみで、残りはキャンペーン進行中に順次追加する予定だとします。キャンペーン中盤に実際の挿入本数を確認しなければ、合意した上限のうち何%(8/20なら40%)が実際に埋まっているのかを把握できません。
クリエイターにとってセグメントの管理がしやすくなったことは、ブランドにとってその配信を検証しやすくなったことを意味しません。プラットフォーム側の自己申告の指標ではなく、実際の売上でパートナーシップを検証したいなら、今すぐ始める。